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「それでは行ってきます」 「行ってきます」 「はい、行ってらっしゃい」 翌朝、修也と蒼芽は紅音に見送られて学校に向かう。 このやり取りはまだ片手で数えられるほどしかしていないが、少しずつ慣れてきたような気がする。 「昨日のパジャマパーティー、...

一方その頃、舞原家では。 「～～♪」 蒼芽が超ご機嫌だった。 家に帰ってからも、夕飯の時もずっと笑顔で、時には鼻歌を歌ってすらいた。 今はリビングでソファーに座ってテレビを見ている。 「蒼芽、今日は何か良いことでもあったの？」 そんな娘の様子が...

「……よかった……ちゃんと、お礼……言えた……」 修也の授業初日の晩、詩歌は自分の部屋で安堵の息を吐いていた。 元々極度のあがり症で、さらに男に対して強い恐怖心を抱いている詩歌。 不思議と修也に対しては恐怖心は湧かなかったものの、それでもあがり症ま...

「米崎さーん、一緒に帰ろー」 放課後、１－Ｃの教室で詩歌が教科書を鞄に詰めている所に蒼芽がやってきた。 「えっ？　あ、う、うん……」 蒼芽の言葉に一瞬意外そうな顔をした詩歌だが、すぐに頷いた。 （そ、そうだよね……友達なら一緒に帰ることもあるよ...

蒼芽と詩歌が屋上で昼食を食べ始めた頃、修也たちはというと…… 「へぇー、ここがこの学校の学食か。広いなぁ」 学食の入り口までやってきていた。 「と言うか、学食だけで１棟あるってどんだけだ」 「まぁ１階は購買なんだけどな」 「だから学食は実質２階...

4時限目の体育の授業も終わり、昼休みになった。 「土神ー、昼はどうするか決めてるのか？」 着替えを終えた彰彦が修也にそう問いかけてくる。 「そういや決めてなかったな。購買とか学食とかあるのか？」 「もちろん。どっちもちゃんとあるぞ。どっちが良...

「…………」 戎が散々クラスメイトに弄られてるその頃。 １－Ｃの教室で詩歌は自分の席に座りつつある方向を見ていた。 その方向とは…… 「ねぇねぇ舞原さん！　土神先輩とはどこで知り合ったの！？」 「えーっと、先週駅前で……」 「どの辺に住んでるか知って...

一方その頃、修也はというと…… 「よく来たね土神君！　逃げずにやってきたその勇気だけは誉めてやろう！！」 「何でRPGのラスボス風なんですか」 職員室に入り、さっそく陽菜に絡まれていた。 「私は待っていた！　君のような若者がやってくるのを」 「あ...

「ふぅ…………」 修也がショッピングモールの近くでガラの悪い男たちに絡まれている女の子を助けた日の夜。 その助けられた女の子、米崎詩歌（よねざき　しいか）は自分の部屋でベッドに腰かけて溜息を吐いていた。 （今日は怖い目に遭ったなぁ……） 思い出し...

蒼芽によるショッピングモール案内から一夜明けて、今日は日曜日。 昨日はほぼ一日外出していたので、今日はゆっくり休もうということになった。 それでも修也の生活リズムは変わらない。 いつもと同じ時間に目が覚め、起き上がり、着替えて食卓へ向かう。...